法人化したら社長一人でも社会保険は強制加入となります

法人化は取引先・金融機関に対する信用や、資金調達、節税対策、福利厚生を充実させやすい、といった様々なメリットがあります。
ただこうした法人成りのメリット面と同時に考えないといけないのは社会保険料コストです。

法人の事業所は、事業主のみの一人法人であっても社会保険の強制適用事業所となります。2019年11月現在で、事業主が負担する社会保険料率は、給与・賞与に対して約15%前後です。

これにたいして、常時5人未満の従業員の個人事業主は社会保険に加入する義務はありません。また、常時5人以上の従業員がいても、次の業種の個人事業主には社会保険の加入義務がありません。

・農林・畜産・水産業
・飲食店、接客業、理・美容、旅館業等サービス業
・映画演劇等の娯楽業
・法律・会計事務所等の自由業
・神社・寺院・教会、など

つまり、上記の業種にあたる個人事業主は、たとえ従業員が100人いても社会保険の加入義務はありません。そのため、上記の業種にあたる個人事業主は、法人化を考えるうえで社会保険料コストに見合う法人化のメリットがあるのかどうかを見きわめる必要があります。

現在、特にサービス業では求人難が続いています。社会保険完備として福利厚生面の水準を上げないと求人してもなかなか人があつまりにくい状況でもあります。そのため、あえて個人事業主のまま、社会保険に任意加入して従業員のみ社会保険に加入させるケースもあります。

任意適用申請の手続き
任意適用事業所でも、従業員の半数以上が厚生年金保険等の適用事業所となることに同意し、厚生労働大臣の認可を受けた場合は社会保険の適用事業所となることができます。
この認可を受けた場合は、反対したひとを含めて従業員全員が加入することになり、保険給付や保険料は、適用事業所と同じ扱いになります。
また、脱退する場合は、被保険者の4分の3以上の同意が必要です。

とはいえ、やはり社会保険料は経営に重くのしかかってくるコストです。
いちど法人化したり、任意加入すると社会保険の適用から脱退することは容易ではありません。
法人化のメリットデメリット、人の採用や社員の福利厚生面などを総合的に考えて社会保険と付き合っていくべきかとおもいます。

ちなみに、法律・会計事務所等のいわゆる「士業」の個人事業主は、今後社保適用拡大の方向で審議が進められることとなっています。

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