労務手続きシステムにオフィスステーションを選んだ理由

溝口労務管理事務所は、手続業務システムとしてエフアンドエム社が提供するオフィスステーション(以下OS)を利用しています。

OSは「労務手続きを“あいさつ”くらい簡単に」をコンセプトとした労働社会保険手続システムです。(念のために書いておくと、労務手続きには様々なイレギュラー処理があり、まだ“あいさつ”ほど簡単にはできません。)

労務手続きシステムとしては、他にもSmartHR人事労務freee社労夢 Company Edition Lite等の他、数社からリリースされています。

私は以下の点を考慮してOSを選択しました。

オフィスステーションを選んだ理由
・社労士事務所が業務として使用するPro版と一般企業向けを併売していること
・社労士事務所と顧問先が手続情報を共有できること
・社労士事務所を通して顧問先にシステムを提供するこができること
・扱える手続の種類が多いこと。特に労災保険の適用や給付に関する手続は、他の手続システムでは手薄なものが多いこと
・電子申請をメインとしているが、紙の帳票にも幅広く対応していること(手書き手続が減ること)
・電話サポートの窓口が繋がりやすく、適切に対応できる人員を配置していること
・新機能の実装や不具合改善のスピードが速いこと

実際に使ってみた感想としては、事前に説明を受けていたことと相違なく、概ね選択して間違いではなかったと思います。
ただ、確かに操作は直感的で分かりやすいのですが、マニュアルが分かりにくい点は大いに改善の余地があると思います。そのぶん、電話サポートが非常に充実しているので問題解決はできますが、サポート時間外にマニュアルを読んで問題解決したことはありません。
その他細かい点を上げれば不満や要望は多くありますが、不具合の改善も進んできており、概ね使って満足なシステムといえます。

もちろん、良い点はたくさんあります。
私はほとんどの手続を電子申請にしていますが、OSはこの点では非常にスムーズに処理できます。電子申請後の進捗も管理画面で一覧でき、完了したものやエラーが発生したものを選別するためのチェック機能も備わっています。
また管理画面での検索機能もシンプルですが使いやすく、終了した手続について交付される公文書もOS内で一元管理できます。

社労士事務所と顧問先企業とはOSを介して連携しているため、公文書を取得する時点で顧問先へ通知する機能を使えば、クリック操作だけで顧問先にも電子公文書が送信される仕組みです。
顧問先は必要に応じて電子公文書を開いて印刷するか、電子媒体のまま保管するかを自社で判断してもらっています。

また、新機能を実装するスピードも非常に早く感じられます。最近リリースされた新機能として特に注目しているのが、雇用契約書管理機能です。

システム上で雇用契約書を作成管理出来る機能で、テンプレート(ひな形)を作っておけば、複製して使い回しができるので顧問先に活用を進めています。

多くの中小企業では雇用契約書(又は労働条件通知書)をWordやExcelで作っていると思いますが、特に契約期間の定めがある場合は更新管理が煩雑になっていることと思われます。
またWordやExcelで作った文書ファイルはPC内に埋もれて見つけるのに苦労する場合もあります。

OSはシステム上の従業員台帳と雇用契約書をリンクさせ、社員毎に最新の雇用契約書が即座に確認することができます。
また顧問先が作成した雇用契約書は、社労士事務所とも共有できるため、各種手続に雇用契約書が必要となる場合はすぐに確認可能です。

更に、顧問先企業は、従業員のメールアドレスを登録し、アカウント発行することによって、システム上の操作だけで従業員に雇用契約書を通知できます。
これはパートアルバイトの多い企業の担当者にとっては助かる機能かと思います。また、OSはこの雇用契約書管理がシステムに組み込まれているため、無料で使用できます。
(SmartHR社も更に高付加価値の雇用契約書管理機能をリリースしていますが、こちらは有料のオプションサービスとなっています。)

その他、一般企業が業務効率化できる新機能として、社員が用紙に手書きした情報を複合機でスキャンしてシステムに自動反映するサービスも先日リリースされました。
高齢従業員が多い企業ではスマホで入力するよりも、現実的にはまだ手書きが多いため、地味ですが使える機能となるかもしれません。

OSは、こうした社労士事務所と顧問先との関係を理解して、双方の業務効率化を支援している点は、他の労務手続きシステムにはない特徴を備えていると思います。

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