来年から年5日の年休時季指定義務が課せられるんですよね?

山田社長
こんにちは、溝口さん。今日はまた年休のことでお聞きしたいことがあるんですが。
溝口
山田社長、こんにちは。先日に引き続き年休のことですね?
山田社長
はい、来年から年5日の年休の時季指定義務が使用者に課せられるんですよね?これまでも社員には年休をとりたかったら業務調整したうえで取ることを推奨してきてはいるんですが・・
溝口
年休は、原則として、下図のとおり労働者が使用者に時期を申し出ることによって取得することになっています。

溝口
しかし、職場への配慮やためらい等の理由から取得率が低調な現状にあり、年休の取得促進が課題となっています 。国際的にみても日本は他の先進諸外国と比較して年休取得率が低い傾向にあります。

山田社長
ほー、確かに日本は取得率が低いですね
溝口
そのため国は、2020年までに年休取得率を現在の50%前後から70%にするという成果目標を掲げました。そして労働基準法が改正され、2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日以上の年休が付与される労働者に対して、年休の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。

ポイントは次のとおり使用者が労働者の意見を尊重しながら時季指定する点です。


山田社長
管理職やパートさんにも与える必要があるんですか?
溝口
はい、年休を10日以上付与される労働者であれば管理監督者やパートタイマーも含みます。付与のタイミングは下図の通りです。

溝口
ただし年休を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。
使用者の時季指定が必要な日数
労働者が自ら申し出て取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて与えた日数(計画的付与)については、5日から控除することができます。
(例)

  • 労働者が自ら5日取得した場合 ⇒ 使用者の時季指定は不要
  • 労働者が自ら3日取得+計画的付与2日の場合 ⇒ 使用者の時季指定は不要
  • 労働者が自ら3日取得した場合 ⇒ 使用者は2日を時季指定
  • 計画的付与で2日取得した場合 ⇒ 使用者は3日を時季指定
溝口
例えば、会社として閑散期を見込んで9月から11月の間の5日を時季指定していたとしましょう。でも労働者が指定年休日よりも前に5日の年休を消化した場合は、使用者側から時季指定をする義務はなくなります。もっと言えば義務がない以上、使用者側から先に指定していた年休を強制することはできないとも考えられます。
山田社長
えー?なんだか、会社としては取扱いが難しいですね
溝口
そうですね、5日以上の年休をとらせないと使用者には罰則があるうえ、時季指定もあくまで強制はできません。したがって、やはり労使の話し合いによる協定によって年休日を指定する計画年休が使いやすいのもかもしれませんね。
山田社長
なるほど、やはり計画年休の方が労使納得の年休が取れそうですね。
溝口
はい、それと来年4月以降使用者は、労働者ごとに「年休管理簿」を作成し3年間保存しなければなりませんので、こちらもお忘れなく。

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