給与計算時の端数処理方法

最近では給与計算システムを使う事業所も多くなってきましたが、中小企業では電卓やExcelで給与計算している事業所もまだまだあります。
そのような場合に割増賃金等の端数処理方法についてよく質問をいただきます。

例えば月平均所定労働時間が170時間で月給26万円の労働者の場合、割増賃金の計算基礎となる1時間あたりの賃金額は、26万円÷170時間=1,529.411・・・となります。
このような場合1円未満の端数処理については、次の3つの方法があります。

1円未満の端数処理方法
① 50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる
② 1円未満はすべて1円に切り上げる
③ 割増賃金の計算途中では端数処理を行わず、1円未満をそのまま使用し最後に①又は②で端数処理する

例えば、月に20時間残業した場合の割増賃金は、

①の場合、1,529円×1.25=1911.25 → 1,911円×20時間=38,220円
②の場合、1,530円×1.25=1912.5  → 1,913円×20時間=38,260円
③の場合、26万円÷170時間×1.25×20時間=38,235.294・・・最後に①又は②の処理をする

このように端数処理方法によって最終的な割増賃金の額が異なりますが、いずれも適法です。
逆によくある間違いとしては、端数処理の途中や最後で1円未満を単純に切り捨てる処理をしている場合がありますが、これは明確にNGです。
なお、上記①~③いずれかで端数処理方法を決めたら、それ以降は統一し労働者ごとに処理がまちまちにならないように注意してください。

もっとも給与ソフトを使えば、最初の設定で端数処理方法を決めればその後は迷わずに済みます。
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