産休中の社員の賞与を減額することは不利益取扱いにあたりますか

12月に入ると例年賞与に関する相談が多くなってきますが、今日は夏頃から妊娠・出産で休業している社員の冬季賞与算定についての相談をいただきました。

男女雇用機会均等法では、妊娠・出産等を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定められています。禁止される不利益取扱いについては、男女雇用機会均等法の指針(平成18年厚生労働省告示第614号)により、「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」が例示されています。
それでは具体的にはどのような場合が「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」にあたるのでしょうか。指針では次のとおりとされています。

賞与等の査定が不利益取扱いにあたるケース
① 実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず、女性労働者が、妊娠し、出産し、又は労働基準法に基づく産前休業の請求等をしたことのみをもって、賃金又は賞与若しくは退職金を減額すること。
② 賃金について、妊娠・出産等に係る就労しなかった又はできなかった期間(以下「不就労期間」という。)分を超えて不支給とすること。
③ 賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、同じ期間休業した疾病等や同程度労働能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や妊娠・出産等による労働能率の低下について不利に取り扱うこと。
④ 賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、現に妊娠・出産等により休業した期間や労働能率が低下した割合を超えて、休業した、又は労働能率が低下したものとして取り扱うこと。
よって、妊娠・出産により休業した期間や労働能力が低下した割合を超えて減額してしまうと不利益取扱いにあたる可能性があります。
(逆に言えば減額の程度が妊娠・出産により休業した期間に対応した割合での減額査定となっていれば問題とならない)
また、妊娠・出産による休業が、疾病等による不就労と比較して不利益な取扱いとなっている場合も、均等法上問題となり得ますのでご注意下さい。

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