最低賃金の計算方法は?
月給・日給・時給の式と福岡県1,114円の早見表
最低賃金は時間額なので、月給・日給は時間あたりに直して比べます。比べる賃金から除く6種類、5つの給与の形の式、福岡県1,114円での月給の下限の早見表、締め日の途中で額が変わる月の扱いを解説します。
結論: 最低賃金は時間額なので、月給・日給は時間額に直し、通勤・家族・精皆勤の手当や残業代、賞与など6種類の賃金を除いて比べます。福岡県(令和8年度 1,114円)で1日8時間・年間休日105日なら、比べる賃金で月給193,094円が下限の目安です。
5つの形の式と計算例、除く賃金、月給の早見表、締め日の途中の扱いを、福岡県1,114円で解説します。月給を入れて確かめる計算ツールもあります。
この記事の要点
- 月給は、1か月平均の所定労働時間(1年間の所定労働時間÷12)で割ります。
- 時間額は四捨五入せずに比べ、1,113.99…円は1,114円に届きません。
- 締め日の途中で発効しても、発効日以後に働いた分から新しい額です。
最低賃金はどうやって計算する?5つの形の式
時給以外の賃金は、時間額に換算して最低賃金と比べます。厚生労働省は、時給・日給・月給・歩合と、その組み合わせの5つの形で式を示しています。
この記事で使う言葉
- 地域別最低賃金: 都道府県ごとに時間額で決める最低賃金。福岡県は2026年10月4日から1,114円(令和8年度。福岡労働局)。
- 所定労働時間: 就業規則などで決めた、休憩を除く働く時間。超えて働いた分の賃金は、比べる額に入れない。
5つの形の式と計算例例は福岡県の最低賃金 1,114円(令和8年度)と比べています
1時給
時給 ≧ 最低賃金額
1,100円 < 1,114円
下回る1,100円
2日給
日給 ÷ 1日の所定労働時間
8,800円 ÷ 8時間 = 1,100円 < 1,114円
下回る1,100円
3月給
月給 ÷ 1か月平均の所定労働時間
1か月平均 =(365日 − 年間休日105日)× 8時間 ÷ 12 = 173.33…時間
190,000円 ÷ 173.33…時間 = 1,096.15…円 < 1,114円
下回る1,096.15…円
4歩合
歩合給 ÷ その期間の総労働時間
200,000円 ÷ 180時間 = 1,111.11…円 < 1,114円
下回る1,111.11…円
5組み合わせ(日給+月額の手当など)
それぞれを時間額に直して合計
日給 8,000円 ÷ 8時間 = 1,000円
職務手当 月20,000円 ÷ 173.33…時間 = 115.38…円
1,000円 + 115.38…円 = 1,115.38…円 ≧ 1,114円
満たす1,115.38…円
最低賃金は、月給の正社員にも、日給や歩合の人にも適用されます(厚生労働省)。業種によっては特定(産業別)最低賃金もあり、地域別と両方当てはまるときは高いほうです(福岡労働局)。
歩合給だけは、所定ではなく実際に働いた総労働時間で割ります。
最低賃金の確認でよくある見落としは、時給のパートだけを確かめて、月給の社員を確かめていないことです。特に、月給の総額ではそれなりの金額でも、最低賃金の計算に含められない賃金(通勤手当・家族手当・精皆勤手当など)があることを見落としているケースがよくあります。
根拠最低賃金法 第3条・第6条、同施行規則 第2条、厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
では、割る前の賃金には、どの手当を入れればよいのでしょうか。
最低賃金に含まれる手当は?除く賃金は6種類
毎月決まって払う基本給と手当は含め、6種類の賃金は除いて比べます。職務手当・住宅手当は含み、通勤・家族・精皆勤の手当は除きます。
最低賃金と比べる賃金
○入れる
- 基本給
- 職務手当・住宅手当など、毎月決まって払う手当
×入れない6種類
- ①臨時の賃金
- ②1か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)
- ③所定労働時間を超える労働の賃金
- ④所定労働日以外の労働の賃金
- ⑤深夜の割増分
- ⑥精皆勤手当・通勤手当・家族手当
例えば、月給210,000円が、基本給170,000円と職務・住宅・通勤・家族の手当 各10,000円の場合です。比べる額に入れるのは、基本給・職務手当・住宅手当の計190,000円で、通勤手当と家族手当の20,000円は入れません。
1日8時間・年間休日105日なら、1か月平均の所定労働時間は173.33…時間です。総支給額の210,000円で割ると1,211.53…円で足りているように見えますが、比べる額の190,000円で割ると1,096.15…円で、福岡県の1,114円を下回ります。
通勤・家族・精皆勤の手当は比べる額に入らないため、総支給額では足りていても、比べると下回ることがあります。注意が必要です。
固定残業代(毎月の残業代を定額で払う手当)も、残業に対して払う賃金なので、比べる額に入れません(上の図の③)。例えば、月給220,000円が基本給190,000円と固定残業代30,000円なら、比べるのは基本給の190,000円だけで、上の例と同じく下回ります。固定残業代の決め方は「固定残業代とは」で解説しています。
なお、遅刻・早退・欠勤など、本人の都合で働かなかった時間や日の分を給与から差し引いても(欠勤控除)、最低賃金法の違反にはなりません。
根拠最低賃金法 第4条第3項・第4項、同施行規則 第1条、神奈川労働局の計算例(令和8年9月1日更新)
では、月給なら、年間休日によっていくら要るのでしょうか。
月給の最低賃金の計算方法は?福岡県1,114円の早見表
月給は、比べる賃金を1か月平均の所定労働時間で割ります。年間休日が少ないほど、下限は上がります。
月給を時間額に直す3つのSTEP
- 比べる賃金を出す: 月給から、除く6種類の賃金を引きます。
- 1か月平均の所定労働時間を出す: 年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12。月ごとに所定労働時間が違う場合(1年単位の変形労働時間制など)は、1年間の所定労働時間の合計 ÷ 12 です。
- 割って比べる: 端数は四捨五入や切り上げをせずに比べます。
年間休日と1日の所定労働時間は、会社の年間カレンダーと就業規則で確かめます。月ごとに労働時間が違う会社も、カレンダーの1年分の合計を使います。

年間カレンダーの集計から、1か月平均の所定労働時間を出す上のカレンダー(2027年4月〜2028年3月、1日8時間)の1年分の集計
1か月平均の所定労働時間 = 1,976時間 ÷ 12 = 164.66…時間
月給の下限 = 1,114円 × 164.66…時間 = 183,439円(円未満は切り上げ)
カレンダーの各月に出ている時間(4月168時間・5月144時間・6月176時間など)は、その月の労働時間です。月ごとに違っても、比べるのは1年間の合計を12で割った時間です。
年間カレンダーがまだ無い会社は、当法人の無料の年間休日カレンダー作成ツールで作れます。休日と所定労働時間を入れると、年間の労働日数・休日数・総労働時間がまとめて出ます。
福岡県1,114円の月給の下限(令和8年度)
| 年間休日 | 1日8時間 | 7.5時間 | 7時間 |
|---|---|---|---|
| 96日 | 199,778円 | 187,292円 | 174,806円 |
| 105日 | 193,094円 | 181,025円 | 168,957円 |
| 110日 | 189,380円 | 177,544円 | 165,708円 |
| 115日 | 185,667円 | 174,063円 | 162,459円 |
| 120日 | 181,954円 | 170,582円 | 159,210円 |
| 125日 | 178,240円 | 167,100円 | 155,960円 |
- 365日の年で計算(うるう年の定めは法令や厚生労働省の資料に見当たらず、366日の年は8時間の列で約740円上がる)。
- 年間休日は、祝日・年末年始・夏季休暇などの所定休日をすべて含む日数(厚生労働省の式は「年間所定労働日数」)。
- 月給の全額が比べる賃金のときの下限。最低賃金額 × 1か月平均の所定労働時間で、下回らないよう円未満を切り上げた当法人の試算(ほかの県も同じ式)。
1円未満の差でも下回ります。年間休日105日・8時間で、比べる賃金が193,093円なら1,113.99…円で、四捨五入や切り上げで1,114円とは扱いません(長野労働局の案内)。
当法人の計算ツールは月給の方向けで、手当の仕分けは入っていません。
ツールには、通勤・家族・精皆勤の手当などを除いた、比べる額だけを入れてください。手当の仕分けを間違えると、ツールの判定も間違えます。
根拠最低賃金法施行規則 第2条第1項第3号、長野労働局の令和8年版リーフレット
では、締め日の途中で上がった月は、どう計算するのでしょうか。
締め日の途中で最低賃金が上がったら、いつの分から?
計算期間の途中に発効日があっても、発効日以後に働いた分は新しい額以上が必要で、「来月の給与から」は認められません。
福岡県なら、例えば20日締めの会社は、2026年9月21日〜10月20日のうち10月4日以後に働いた分から1,114円以上が要ります(厚生労働省のQ&A)。
月給の人は、計算期間を改定前と改定後の日数の割合で分けて比べる方法を、長野労働局が示しています。
注意
本人の同意があっても、下回る部分は無効で、最低賃金と同じ額を定めたものとみなされ、差額を払う必要があります。地域別最低賃金を下回ると50万円以下の罰金の対象です(特定最低賃金は30万円以下)。
下回っていたことに気づいたら、発効日以後の分の差額を計算して支払い、同じことが起きないように賃金規程や雇用契約書の額も直しておきましょう。
賃金の引き上げに使える助成金は、キャリアアップ助成金の記事にあります。
根拠最低賃金法 第4条・第40条、労働基準法 第120条、厚生労働省のQ&A、長野労働局のリーフレット
では、毎年いつ確かめればよいのでしょうか。
まとめ:時間額に直し、除く賃金を外して比べる
月給・日給・歩合は時間額に直し、6種類の賃金を除いて比べます。

毎年8月に各都道府県の新しい額が答申されたら、発効日の前に、時給・日給・月給の全員を1枚の一覧にして確かめておくと安心です。
手当や固定残業代まで、社労士に確かめてもらいませんか。
賃金の数字をお送りいただくと、特定社会保険労務士が見て、下回っている人と直す箇所を、3営業日以内に無料でお返しします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 最低賃金はどうやって計算しますか?
A. 時給以外は時間額に直し、除く6種類の賃金を外して、地域別最低賃金(福岡県は令和8年度 1,114円)と比べます。
Q2. 月給の場合は、どう時給に直しますか?
A. 比べる賃金 × 12 ÷ 1年間の所定労働時間です。端数は四捨五入や切り上げをせずに比べます。
Q3. 基本給と手当は合わせて計算しますか?
A. 合わせます。日給と月額の手当のように形が違えば、それぞれ時間額に直して足します。除く6種類の賃金は足しません。
Q4. 住宅手当や資格手当は含まれますか?
A. 住宅手当は含みます(神奈川労働局の計算例)。除くのは精皆勤・通勤・家族の手当や臨時の賃金・賞与・割増賃金などで、ほかの毎月の手当は含めるのが原則です。名前でなく中身で判断します。
Q5. 日給の場合の計算方法は?
A. 日給を1日の所定労働時間(日によって違えば1週間の1日平均)で割ります。福岡県(令和8年度 1,114円)で1日8時間なら、日給8,912円以上が必要です。







