企業型DCとは?
4つの設計で変わる会社の負担と社員の社会保険料・年金
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、掛金の出し方で4つの設計に分かれ、会社の負担も社員への影響も変わります。社会保険料が下がる設計の裏側(年金・手当の減少、最低賃金)、社長・役員の2つの方法、2026年の改正、会社が払う費用まで、良い面と悪い面を同じ重みで解説します。
結論: 企業型DCは掛金の出し方で4つの設計に分かれます。給料の一部を掛金に回す設計では、標準報酬月額の等級が下がった場合に健康保険・厚生年金の保険料が下がり、同じ分だけ年金や手当も下がる可能性があります。導入の前に、会社の収支(手数料込み)と社員の手取り・年金を数字で確かめてください。
4つの設計の違い、下がる給付の試算例、最低賃金・社長の加入・費用・2026年の改正を、確かめる順に説明します。試算(シミュレーション)の案内は中ほどと末尾にあります。
この記事の要点
- 企業型DCは会社が掛金を出し、社員が運用し、原則60歳以降に受け取る制度。会社が約束するのは掛金の額です。
- 健康保険・厚生年金の保険料が下がるのは選択制・組み合わせで、等級が下がった場合に限ります。
- 等級が下がれば老齢厚生年金・傷病手当金・出産手当金も下がる可能性。掛金に回した分は最低賃金の計算に入りません。
- 2026年4月1日にマッチング拠出の制限が撤廃、2026年12月1日から限度額は月6万2,000円。
企業型DCとは?会社が掛金を出し、社員が運用し、60歳以降に受け取る制度
企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が毎月の掛金を出し、社員本人が運用し、原則60歳以降に一時金か年金で受け取る年金制度です(確定拠出年金法2条)。会社が約束するのは掛金の額で、受け取る額は運用の結果で増減します。60歳から受け取るには、60歳時点で通算加入者等期間(iDeCoの期間も合算)が10年以上あることが要ります(法33条)。
この記事で使う言葉
- 事業主掛金: 会社が出す掛金。決め方は年金規約に定める(法3条3項7号)。
- 標準報酬月額: 健康保険・厚生年金の保険料と給付のもとになる額。報酬月額を等級に当てはめて決める。
- 運営管理機関: 運用商品(3以上35以下)を選んで加入者に示す機関。
加入者は厚生年金に加入している人で、役員も対象です(法9条)。最低人数の定めは無く、運営管理機関の資料では1名から導入できます。
掛金の上限は2026年12月1日から月6万2,000円です(施行令11条、令和7年政令第442号)。確定給付企業年金(DB)などがある会社はその掛金相当額を差し引きます。上限は会社の掛金と社員の掛金の合計に掛かり(法20条)、中退共の掛金は差し引かれません。
税の優遇は3段階です。
- 掛金: 会社の損金。社員の給与所得にも社会保険料の算定にも入らない(法人税法施行令135条・所得税法施行令64条)
- 運用益: 運用中は非課税(一般の口座は約20%課税。国税庁 No.1463)
- 受取: 一時金は退職所得控除(国税庁 No.1420)、年金は公的年金等控除
実施事業所は2015年3月末 20,097社→2025年3月末 58,326社(約2.9倍)、加入者は508万人→862万人(約1.7倍)です(運営管理機関連絡協議会の統計資料、2025年3月末)。事業所の伸びが大きく、小さな会社に広がっているとうかがえます。
アイビー社会保険労務士法人も、企業型DCに加入しています。
根拠確定拠出年金法2・9・20・33条、施行令11条(令和8年12月1日施行版)、厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
会社の負担と社員への影響が設計で変わるとは、どういうことでしょうか。
4つの設計は何が違う?会社の負担と社会保険料を1枚の図で比べる
企業型DCは掛金の出し方で4つに分かれます。①会社が給料とは別に掛金を出す、②①に社員が天引きの掛金を上乗せする(マッチング拠出)、③給料の一部を手当にし、現金か事業主掛金かを社員が選ぶ(選択制)、④①と③の組み合わせです。健康保険・厚生年金の保険料が会社も本人も下がるのは③④で、標準報酬月額の等級が下がった場合に限ります(確定拠出年金Q&A No.70)。①②では変わりません。
企業型DCの4つの設計給料の棒に、掛金がどう乗るか。健康保険・厚生年金の保険料が下がるのは③④で、標準報酬月額の等級が下がった場合だけです
1会社が給料とは別に掛金を出す
- 会社の負担掛金の分だけ増える(全額が損金)
- 保険料変わらない(給料の額が同じ)
- 性格退職金に近い。定額は全員同額が原則
2①に社員が上乗せ(マッチング拠出)
- 会社の負担会社の掛金の分だけ
- 保険料変わらない(天引きで給料の額は同じ)。社員の掛金は全額が所得控除
- 性格社員が自分の掛金も積む
3給料の一部を掛金に回すかを社員が選ぶ(選択制)
- 会社の負担持ち出しは増えない(手当の総額は同じ)。運営管理機関の手数料は別
- 保険料等級が下がった場合に会社も本人も下がる。同じ分だけ年金・手当も下がる可能性
- 性格福利厚生に近い。給与規程の変更と社員への説明が要る
4①と③の組み合わせ
- 会社の負担基本の掛金の分だけ
- 保険料上乗せ分は③と同じ(等級が下がった場合)
- 性格基本の掛金で退職金を残し、上乗せは福利厚生。調査回答企業の9.7%
給料会社の掛金社員の掛金(天引き)給料から回した掛金(事業主掛金になる)
向く会社の目安。①退職金を社外に積み立てたい会社。②社員が自分の掛金も積みたい会社。③持ち出しを増やさず福利厚生にしたい会社。④基本の掛金で退職金を残し、希望者だけ上乗せしたい会社。
設計1の掛金は、定額か給与に一定の率を乗じて決めます(法4条1項3号)。定額は全員同額が原則で、役職別の額には給与規程に基づく区分など合理的な理由が要ります(法令解釈通知 第1-2)。規約に定めた場合、資格喪失時に使用された期間が3年未満の人の資産は、事業主掛金に相当する部分(運用で減れば減った額)を上限に会社へ返還させられます(法3条3項10号)。
お勧めの形は、中退共を土台にして、余力に応じて企業型DCを上乗せします。アイビー社会保険労務士法人も、中退共と企業型DCを併用しています。
設計2のマッチング拠出は、社員の掛金が全額所得控除になります(国税庁 No.1135)。天引きするだけで給料の額は変わらないので、保険料は変わりません。2026年4月1日に「会社の掛金を超えられない」制限は無くなりましたが、社員の掛金は定額のみ・複数の額から選ぶ・ゼロ円不可です(Q&A No.71-1〜71-3)。
設計3の給料の減額は給与規程の問題です(Q&A No.70)。扱える設計は運営管理機関のプランで違います。
根拠確定拠出年金法3条3項10号・4条1項3号、施行令2条、法令解釈通知 第1-2、Q&A No.70・71-1〜71-3
下がった分は、どこに影響するのでしょうか。
社会保険料が下がる設計の裏側:どの給付がいくら下がる?
選択制・組み合わせで標準報酬月額の等級が下がった場合、保険料と同じもとで計算する老齢厚生年金・傷病手当金・出産手当金も下がる可能性があります。育児休業給付・介護休業給付・失業手当は賃金の実額で計算するので、等級に関係なく下がることがあります。
社会保険料が下がる設計の裏側軽くなるものと下がるものは、同じ「標準報酬月額」から出ています
給料の一部を掛金に回す → 標準報酬月額の等級が下がった場合等級が変わらなければ、健康保険・厚生年金の保険料と給付は変わりません(例: 報酬月額24万円→23万円は同じ24万円の区分)
軽くなるもの
- 健康保険・厚生年金の保険料(会社・本人)等級が下がった分。会社の負担も同じだけ減る
- 雇用保険料(会社・本人)賃金の実額で計算。等級に関係なく、回した分だけ
- 所得税・住民税(本人)掛金は給与所得に入らない。住民税は翌年6月から
下がる可能性があるもの
- 老齢厚生年金(報酬比例部分)等級が下がった月数の分、将来ずっと
- 傷病手当金・出産手当金標準報酬月額の平均から日額を計算
- 育児休業給付・介護休業給付・失業手当賃金の実額で計算。等級に関係なく下がることがある(従業員のみ)
当法人の試算例(概算): 41歳・月額報酬30万円・福岡県で月2万円を掛金に回し、1等級下がる場合。軽くなる: 本人の社会保険料 月3,126円、所得税・住民税 年19,800円、会社の社会保険料・労働保険料 月約3,300円。下がる: 老齢厚生年金 年24,993円(60歳まで加入・228か月分)、傷病手当金・出産手当金 1日447円。手取りは月約1.5万円減(2万円を積み立てたうえで)。
下がる可能性がある給付(健康保険・厚生年金の給付は等級が下がった場合、雇用保険の給付は賃金の実額で)
| 給付 | 計算のもと | 下がる条件 |
|---|---|---|
| 老齢厚生年金(報酬比例部分) | 平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数(日本年金機構) | 等級が下がった場合。下がった月数の分 |
| 傷病手当金・出産手当金 | 12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3(協会けんぽ) | 等級が下がった場合 |
| 育児休業給付金・介護休業給付金 | 休業前6か月の賃金÷180×67%(育児は181日目以降50%) | 賃金の実額で下がることがある。掛金に回した後の賃金日額が上限16,540円(令和8年8月1日〜令和9年7月31日)以上なら下がらない |
| 基本手当(失業手当) | 離職前6か月の賃金÷180×50〜80%(60〜64歳は45〜80%。令和8年8月1日〜) | 賃金の実額で下がることがある。賃金の低い人ほど率が高く影響が大きい |
- 出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金(13%・最大28日)を含む。介護休業は同じ家族につき93日・3回まで。下2行は従業員だけ(役員に雇用保険は無い)。
等級が変わらなければ、健康保険・厚生年金の保険料と給付は変わりません。報酬月額24万円の人が1万円を掛金に回して23万円になっても、標準報酬月額は24万円(報酬月額23万円以上25万円未満の区分)のままです(保険料額表 令和8年度版)。変わるのは雇用保険料と雇用保険の給付、所得税・住民税です。
当法人の試算例(概算)
2026年度の料率(福岡県・協会けんぽ)と令和8年分の税制で、41歳・月額報酬30万円の従業員が月2万円を掛金に回し、標準報酬月額が30万円から28万円(1等級)に下がる場合です。本人の社会保険料は月3,126円(年37,512円)、所得税・住民税は年19,800円下がり、手取りは月約1.5万円減ります(2万円を積み立てたうえで)。会社の社会保険料・労働保険料は月約3,300円下がります。老齢厚生年金は60歳まで加入なら年24,993円(228か月分)減り(2万円×5.481/1000×月数)、傷病手当金・出産手当金は1日447円減ります。当法人の試算(概算。給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ考慮、賞与を含まない)で、企業型DC シミュレーションと同じ計算です。
社会保険料が下がる話は聞いているが、その分、将来の年金や休んだときの手当が下がることを、社員に説明する前提で考えていない会社が多いと感じています。導入の説明会で初めて社員から聞かれて困らないよう、数字で先に確かめておくことを勧めています。
会社は導入のときに、こうした不利な点も含めて社員に説明する必要があります。Q&A No.70は、給付が「減額する可能性があることを説明する必要がある」とし、「具体的な事例を用いて説明することが望ましい」としています。

根拠確定拠出年金Q&A No.70、法令解釈通知 第1-2(5)、保険料額表(令和8年度版)、各給付の公表資料、当法人の試算
もう1つ、給料の低い人には最低賃金の問題があります。
選択制で最低賃金を下回ることがあるのはなぜ?
掛金に回した分は、最低賃金の計算に入りません。選択制の事業主掛金は労働基準法上の賃金に当たらず(社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料1、2024年12月2日)、最低賃金法の「賃金」は労働基準法の賃金を指す(最低賃金法2条)ためです。福岡県の1,114円(令和8年度、2026年10月4日発効)では、月給18万円・160時間の人が月1万円を回すと時給1,062.5円となり下回ります。
この結論を直接書いた官公庁の資料は確認できておらず、資料1の「選択制DCの事業主掛金は労働基準法上、賃金には該当しない」と最低賃金法2条3号(最低賃金法の賃金は労働基準法11条の賃金)の組み合わせです。
月1万円を掛金に回したときの時給換算(福岡県 1,114円、2026年10月4日発効)
| 例(月の時間数は仮定) | 掛金なし | 月1万円を掛金に | 判定 |
|---|---|---|---|
| 月給18万円・月160時間 | 180,000÷160=1,125円 | 170,000÷160=1,062.5円 | 下回る(51.5円足りない) |
| 時給1,200円・月150時間 | 1,200円 | (180,000−10,000)÷150=約1,133円 | 上回る |
| 時給1,200円・月80時間 | 1,200円 | (96,000−10,000)÷80=1,075円 | 下回る |
- 月給18万円・160時間の人が回せるのは月1,760円まで。時給1,200円の人は、月117時間以上なら下回らず、116時間以下になると1万円で下回る(境目は約116.3時間。当法人の計算)。
時給や日給の人の確かめ方
最低賃金は毎年改定されます。時給や日給の人は、掛金に回す分を引いた額を時間で割り直して確かめてください。
入社したばかりで給料が低い人、時給や日給で働く人、出勤日数が少ない人は、注意が必要です。対策は、こうした人は設計4で上乗せをしない形にすること。そして、上乗せできる人の条件と上限を、規程で決めておくことです。規程は給与規程と年金規約の両方です(Q&A No.70、法3条3項7号)。
根拠最低賃金法2条3号・4条、労働基準法11条、「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」、社会保障審議会 資料1 p.19
社長や役員はどう使えるのでしょうか。
社長・役員はどう使える?2つの方法と3つの注意
厚生年金に加入している社長・役員も加入者になれ、方法は「役員報酬を減らして掛金に回す」と「役員報酬はそのままで会社が掛金を上乗せする(2026年12月1日から月6万2,000円まで)」の2つです。減らして回す方法では、標準報酬月額の等級が下がった場合に社会保険料が下がり、同じ分だけ老齢厚生年金などの給付も下がる可能性があります(役員に雇用保険は無いので、失業手当の話は従業員だけ)。注意は3つ、役員報酬の減額は事業年度開始の日から3か月を経過する日までの改定にする、社員(厚生年金被保険者)がいる会社で社長だけが加入する形は原則とれない、差し押さえられないのは「給付を受ける権利」で老齢給付金・死亡一時金の国税滞納処分は除く、です。
社長・役員の2つの方法厚生年金に加入している役員が対象。掛金は2026年12月1日から月6万2,000円まで
A役員報酬を減らして、その分を掛金に回す
- 本人の税所得税・住民税が下がる(掛金は給与所得に入らない)
- 社会保険料等級が下がった場合に会社も本人も下がる。同じ分だけ老齢厚生年金などの給付も下がる可能性(役員に雇用保険は無い)
- 時期報酬の減額は事業年度開始の日から3か月を経過する日までの改定に(定期同額給与)
B役員報酬はそのままで、会社が掛金を上乗せする
- 会社の負担掛金の分だけ新たに増える(全額が損金)
- 社会保険料変わらない(報酬の額が同じ)。年金も減らない
- 本人掛金は本人の所得にならず、原則60歳以降に受け取る
私は、企業型DCが向いているのは、退職金を社外に積み立てたい会社と、経営者ご自身の資産づくりも一緒に進めたい会社だと考えています。
定義
- 定期同額給与: 毎月など1か月以下の期間ごとに同じ額で支給する役員給与。これに当たらない役員給与は損金にならない(法人税法34条)。
注意1の時期を外れた減額は、臨時改定事由か業績悪化改定事由に当たらないと、減額前後の差額が損金にならないおそれがあります。「一時的な資金繰りの都合」は業績悪化改定事由に含まれません(国税庁 No.5211)。税務は顧問税理士へ。
注意2は、厚生年金の被保険者は全員加入が原則で、絞れる「一定の資格」が職種・勤続期間・年齢・希望する者の4つだけだからです。「希望する者」の形でも、社員に加入の機会を用意します。
注意3の差押禁止は、受け取る前の「給付を受ける権利」の保護です(法32条。除かれる国税滞納処分には、その例による処分を含む)。
根拠確定拠出年金法9・32条、法令解釈通知 第1-1、Q&A No.34、法人税法34条・施行令69条、国税庁 No.5211
短所と日々の事務はどれくらいでしょうか。
導入の前に知っておく短所と事務の負担は?
短所は4つです。①運用の結果で元本を割ることがある、②原則60歳まで引き出せない(脱退一時金は法の要件を満たす場合に限る)、③投資教育が事業主の努力義務(法22条)、④手続きと、設計3・4では給与計算の変更、です。退職者の資産は、資格を喪失した月の翌月から6か月以内に移換しないと国民年金基金連合会に自動移換され、手数料が引かれます(法83条、iDeCo公式サイト)。2026年4月1日からは、退職が見込まれる段階で会社が説明する義務になりました。
投資教育は条文では努力義務ですが、厚生労働省の概要ページは「行わなければなりません」と書いています。教材は運営管理機関のものを使うのが現実的です。
事務を回せる人がいない会社には負担が重くなります。
- 入社: 厚生年金の被保険者になった社員の資格取得の手続き。
- 掛金の変更: 年金規約の定めに基づく手続き。
- 給与計算(設計3・4): 手当の切り出しと、掛金に回した分を社会保険料・雇用保険料の算定から外す(事業主掛金は賃金に当たらないため)。給与計算が変わる。
- 退職: 退職が見込まれる段階での自動移換の説明(2026年4月1日から義務)と、資格喪失後の移換の案内(翌月から6か月以内)。
掛金は任意に止められず、中断できるのは就業規則等に定める休業など合理的な理由で給与が支給されず、かつ労使合意のうえ規約に明確に規定されている場合です(Q&A No.71)。
根拠確定拠出年金法22・83条、附則2条の2・3条、Q&A No.71、厚生労働省「2025年の制度改正」
会社の費用はいくらで、社会保険料の軽減で賄えるのでしょうか。
会社の費用はいくら?2026年の改正と合わせて確かめる
会社の費用は、運営管理機関が公表する料金表(税込、2026年10月30日確認、基準日の表示なし)の例で、導入一時金11万円、事業主手数料 月1万1,000円(事業所単位の最低額)、加入者手数料 月440円(掛金を拠出する人1人あたり)などです。合計は人数と掛金で変わり、社会保険料の軽減で賄えるかは等級が下がるかどうかと人数しだいなので、試算で確かめます。
料金表の例(運営管理機関が公表する額。税込、2026年10月30日確認)
| いつ | 項目 | 金額 |
|---|---|---|
| 導入時 | 導入一時金 | 11万円 |
| 導入時 | 規程の作成整備費用 | 5万5,000円 |
| 導入時 | 口座開設手数料 | 3,300円(掛金を拠出する人1人あたり) |
| 毎月 | 事業主手数料 | 1万1,000円(事業所単位の最低額) |
| 毎月 | 加入者手数料 | 440円(掛金を拠出する人1人あたり) |
| 毎年 | 資産管理手数料 | 年率0.110%(残高5億円以下) |
- 合計は人数と掛金で変わります。基準日の表示が無い料金表なので、最新の見積書で確認してください。
事業主手数料は原文では「事業所単位のミニマムチャージ」で、加入者が少ない会社ほど1人あたりの費用は重くなります。
賄えるかは、第3章の試算例の月約3,300円を人数と等級の下がり方で積み上げて、会社ごとに確かめます。
読者の社長に最初にしてほしいのは、「うちの会社だと、会社の収支と社員の手取り・年金はどう変わるか」を数字で見ることです。企業型DC シミュレーションのページで1分で概算が出ます。詳しくは賃金台帳をもとに一人ずつ計算します。
2026年の改正(厚生労働省「2025年の制度改正」、令和7年政令第442号)
| 施行日 | 変わること |
|---|---|
| 2026年4月1日 | マッチング拠出で「加入者掛金は事業主掛金の額を超えてはならない」という制限の撤廃。簡易型DCの通常の企業型DCへの統合。自動移換の説明時期の見直し |
| 2026年12月1日 | 拠出限度額が月5万5,000円から6万2,000円(年74万4,000円)に。DB等がある人はその掛金相当額を差し引く |

根拠運営管理機関の料金表(税込、2026年10月30日確認)、厚生労働省「2025年の制度改正」、施行令11条
まとめ:向く会社と慎重に考える会社、当法人の立ち位置
社会保険料が下がるのは選択制・組み合わせで標準報酬月額の等級が下がった場合に限り、そのときは年金や手当も下がる可能性があります。会社の収支(手数料込み)と社員の手取り・年金を数字で確かめてから決めてください。
第5章の退職金を社外に積み立てたい会社と、経営者ご自身の資産づくりも一緒に進めたい会社に加えて、社会保険料の負担を軽くしたい会社にも合います。一方で、大半の社員の基本給や諸手当(最低賃金の対象になる賃金)が低く、掛金に回すと最低賃金を下回るような給与水準の会社では、選択制は採用できません。
当法人は運営管理機関や金融商品の販売会社ではありません。制度設計、給与規程の改定、給与計算の変更、社員への説明を支援します。導入を希望される場合は、提携する代理店を通じてご案内します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 企業型DCとは何ですか。中退共の掛金があると限度額は減りますか。
A. 会社が掛金を出し、社員が運用し、原則60歳以降に受け取る年金制度です(確定拠出年金法2条)。中退共の掛金は限度額から差し引かれません(施行令11条)。
Q2. 会社の費用はいくらかかりますか。
A. 運営管理機関の料金表(税込、2026年10月30日確認)の例で、導入一時金11万円、事業主手数料 月1万1,000円(事業所単位の最低額)、加入者手数料 月440円(掛金を拠出する人1人あたり)です。
Q3. 選択制で社会保険料が下がると、何が不利になりますか。
A. 標準報酬月額の等級が下がった場合、老齢厚生年金・傷病手当金・出産手当金が下がる可能性があります。育児休業給付や失業手当は賃金の実額で下がることがあります。
Q4. 2026年の改正で何が変わりますか。
A. 4月1日施行: マッチング拠出の社員の掛金が会社の掛金を超えてはならない制限の撤廃。12月1日施行: 限度額 月6万2,000円(DB等があれば掛金相当額を差し引く)。
Q5. 社員がいる会社で、社長だけ加入できますか。
A. 原則できません。全員加入が原則で、絞れる資格は職種・勤続期間・年齢・希望する者の4つだけです。「希望する者」の形でも、社員に加入の機会を用意します。







